パーコール法とはどんな産み分け方法?
パーコール法って??
パーコール法は、人工授精(AIH)で採用される精子の精製方法の一つで、X精子とY精子を分離することができるので男女の産み分けにも有効とされています。
受精する精子の種類によって、
- X精子が受精すると女の子が産まれる
- Y精子が受精すると男の子が生まれる
ので、あらかじめ精子を分離してから人工授精して産み分けするという方法ですね。
人工授精だから成功率は100%あるんじゃないの?
って思う方もいるかもしれませんが、実は成功率はそれほど高くないというのは意外と知らない人も多いです。
このページでは、パーコール法のやり方や気になる成功確率、費用、問題点などメリットデメリットを詳しく解説します。
パーコール法を説明する際に、人工授精についても少し理解しておいた方が理解が深まるかと思いますので、まずは人工授精について簡単に説明して、その後にパーコール法について解説しますね。
目次
人工授精と聞くと、「なんかだ怖そう?」って少し不安になる人もいるかも知れません。
例えば、
「注射器で子宮に精子を注入するの?」
「卵子に直接針を刺して精子を注入して受精させる」
なんてイメージを持ってる人も結構いるんじゃないでしょうか?
結論から言うとそれは違います。
人工授精
この場合の人工授精とは、
「前もって採取した精子を膣ではなく、その奥の子宮内に直接注入する方法」
のことを言います。
一般的にはカテーテル等を膣から挿入して子宮に注入する感じですね。
(ですので、注射器を体外から刺すわけじゃないです。)
自然受精
それに対して、自然受精とは、
「通常の性交渉(セックス)によって精子を膣内に射精すること」
を言います。
つまり、
- 人工授精・・・採取した精子を子宮内に注入する
- 自然受精・・・セックスで膣内に射精する
ということですね。
膣内に射精するか、子宮内に注入するかの違いだけですので、たくさんある精子のうちのひとつが卵子と受精するということはどちらも同じです。
※体外で精子と卵子を受精させる方法は体外受精(IVF)といいます。
人工授精が適用されるケースは?
通常なら性行為によって自然受精をするのですが、
- 男性の精子が少ない、または精子の運動性が低い
- 女性の頚管粘液が少ない
- 男性のED(勃起不全)
等々、なんらかの理由で性交渉ができない夫婦や、妊娠ができない不妊症の場合などに、この「人工授精」が利用されるんですね。
この人工授精の一般的な流れは、
- 排卵日を特定する
- 男性の精子を採取する
- 精子を子宮内に注入する
となるんですが、受精確率をあげるために、精子を子宮に注入する前に精子を洗浄(精製)します。
この洗浄によって、運動能力の高い精子(この段階ではX精子とY精子は混在してます)だけを集めて、子宮内に注入するんですね。
これによって、ただ採取した精子をそのまま注入するよりも妊娠確率を上げられるというわけです。
これが一般的な人工授精です。
人工授精による産み分けは?
そして、この精子の精製過程で、
- 更にX精子とY精子を分離する
- 分離したX精子かY精子のどちらかだけを注入する
という作業を追加することによって、産み分けが可能になるってしくみです。
精子の精製方法には、
- スイムアップ法
- 洗浄・濃縮法
- パーコール法
など、いろいろあるんですが、この中で「パーコール法」が産み分けに最も有効と言われているんですね。
パーコール法を詳しく解説
パーコール法は、前述のとおり精子の精製法(分離法)のひとつ。
ショ糖という糖分の一種であるパーコールという液体に精子を入れ、遠心分離器にかけてX精子とY精子を分離する方法です。
X精子がY精子よりも比重が7%大きい(重い)ことに着目した分離法です。
簡単に言うと、重いX精子が下に、軽いY精子が上に分離されるわけですね。
で、女の子が欲しい場合は、下に溜まったX精子(女の子)を採取して子宮に注入し、
逆に男の子が欲しい場合は、上の方に浮いたY精子(男の子)を採取して注入します。
もう少し具体的に説明すると、、
まず、比重の違うパーコール液を何種類も作り、その上に精子を置きます。
その状態で遠心分離機にかけると、精子は自分と同じ比重の層にあつまります。
結果的に重いX精子は一番下の層に、軽いY精子は上の方に層に溜まるわけです。
比重に勾配をつけて分離する方法なので、正式にはパーコール比重勾配法っていう名前がついてます。
このパーコール液の濃度の層が多いほど正確に分離できると言われていて、
- 通常の洗浄目的のみ … 1〜4層
- 産み分け目的の場合 … 9〜12層
でやる場合が多いです。
8層以下だと産み分けには向かないようですね。
また、一般的に層の数が増える費用も高くなります。
(例えば、2層だと2万円くらい、12層だと3〜5万円といった感じですね。)
ある口コミ掲示板で以下の質問がありました。(内容抜粋)
「今日、人工授精をしてきました。
処置前に名前と生年月日の確認をしてくださいと言われ、確認しましたがその横に”パーコール法にて”と書いてありました。
これって産み分けで行うパーコール法と同じなのでしょうか?
不妊で通っていただけで産み分けで通っていたわけではないのですが、値段も普通の人工授精の値段でしたし、精子洗浄と産み分けのパーコール法は違うものなのでしょうか?」
【回答】
「パーコール法=産み分け」と思っている人が多いんですが、正確に言うとそうではありません。
というのも、精子の洗浄方法には、スイムアップ法やパーコール法など数種類の方法があって、その中でもっとも適した方法を採用します。
ですので、医師がパーコール法が最適と判断した場合はそれを採用するんですね。
その場合、上のように精子の洗浄のみを目的とする場合であってもパーコール法と呼んだりします。
パーコール法はあくまでも、精子の洗浄法(分離法)の手法の一つです。
そのへんは誤解ないようにしておきましょう。
上の説明だけ聞くと、
「パーコール法での産み分けは100%成功するんじゃないの?」
って思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
というのも、
X精子とY精子の分類自体が100%の確率でできるわけではなく、多少混じってしまうことがあるからです。
X精子とY精子の重さが違うと言ってもその差はわずか7%。
熟練した培養士でも正確な精子調整は難しいというのが実情なんですね。
そのため、実際の成功確率はだいたい60〜70%前後と言われています。
ただ、この数値も産婦人科学会や国(厚生労働省)などからの正式なデータが報告されてるわけではないので、一応の目安と考えておいた方がいいですね。
実際、病院によっては「成功率は80%です」と答えるところもあったり、「6、7割ですよ」というところもあったり、なかには「思った成果が得られないのでパーコール法は中止した」という病院もあったりと、病院によってばらつきがあるようです。
とりあえず、パーコール法をすれば必ず希望の性別の赤ちゃんを授かれるわけではないということは理解しておきましょう。
パーコール法って違法?合法?倫理的な問題は?
このパーコール法ですが、日本のクリニックや産婦人科でも実施しているところしていないところがあります。
というのも、実は2006年4月までは日本産婦人科学会の見解では、重篤な遺伝病の回避(伴性劣性遺伝性疾患)以外でのパーコール法の使用は、安全性が確立されていないとの理由で認めていなかったんですね。
ただ、その後症例が重ねられても副作用が発生したという報告もないことから、現在では「認めない」という文言が削除されたという経緯があります。
といっても、「安全性に対する見解」が削除されただけで、容認とか推奨をしているわけではない、という状況のようです。
つまり、産婦人科学会でとしては、
- 産み分けにパーコール法の利用は禁止していないが推奨してるわけでもない
- 最終的には病院側の裁量(判断)に任せる
というスタンスですね。
そもそも、産婦人科学会も全ての病院やクリニックが参加しているわけではない(入会の義務もない)ので、上のような見解と関係なく、病院によっては実施しているところもあったんですけどね。
つまり、産婦人科学会の規則は「学会内のルール」であって、法律とは無関係ということになります。
とうことで、日本でバーコール法をによる産み分けは、
合法的なものであって違法ではない
ということです。
ただ、病院によっては、パーコール法は結果的に命の選択になるのでは?という倫理的な考えから今でも実施していないところもあります。
パーコール法による産み分けを行いたい場合は、事前に確認してから病院に行くようにしましょう。
パーコール法の大まかな流れは以下のとおりです。
- 定期健診で排卵日を特定する
- パーコール法の実施日を決定(基本的には排卵日。排卵日2日前の希望も可能。)
- 当日に精子を採取
- パーコール法にて精子を精製(分離)
- 分離した精子を子宮に注入する(人工授精)
- 病院によってはhCG注射(ホルモン系の注射で排卵を誘発する)を精子注入の前後に行う
排卵日の特定と人工授精実施日の決定
まずは排卵日を特定して処置日を決定します。
定期検診でエコー検査等を受けて排卵日を推定するのが一般的ですが、自己申告で処置日を決めることもできます。
定期健診に通う場合は1周期につき、1〜3回病院に通い、後は人工授精当日に来院することになります。
処置日の最終的な判断は自分ですることになりますね。
精子の採取について
精子は人工授精当日に病院指定の容器にいれて持参します。
家で準備してもいいし、病院で採取してもOKです。
病院で採取する場合は、採精室という精子を採取する部屋が用意されていますのでそこで採取します。
自宅で準備する場合の注意点ですが、精子は鮮度が低いと精子の質(運動率)が低下してしまうので、あまり長時間の保管はNGです。
なので、通常は「採取後2〜3時間のうちに持ってきてください」といった感じで時間を指定されることが多いです。
また、温度変化にも影響するので要注意。
高すぎても低すぎてもダメでひと肌くらいが丁度良いらしく、ブラジャー等の下着の中に入れていくなど工夫されている方も多いです。
家から病院が遠い場合や、旦那さんの時間の都合がつけにくい場合などもあると思いますが、このへんはご夫婦間の協力が必要になってきますね。
夫婦でしっかりと話し合って、一番やり易いと思うやり方を選択しましょう。
当日の流れ
人工授精当日は、パーコール法で精子を精製後に人工授精を行います。
精製にかかる時間は大体20〜40分程度かかりますが、子宮への注入処置は5分から10分ほどで終了します。
実際の処置は、
内診台に乗る
↓
超音波検査で子宮の位置等を確認する
↓
生理食塩水等で膣を洗浄、消毒する
↓
器具で膣を開く
↓
専用カテーテル(細い管)で精子を注入して完了
(内診台の上で数分安静を取る場合が多いです)
といった流れで進みます。
この時、痛みはほどんどない場合が多いようですが、人によっては膣を広げる際に少し痛みを感じる方もいるようですね。
hCG注射について
病院によっては排卵誘発目的でhCG注射を打つ場合があります。
hCG注射は女性ホルモン(プロゲステロン)の分泌を促進するもので、注射して約36時間後に排卵が起こると言われています。
ホルモン系の注射なので人によっては副作用を気にして打ちたくないという人もいます。
希望は受け入れてもらえますので、医師に相談してみましょう。
以上がパーコール法、人工授精の大まかな流れです。
精子の保管時間、条件等には注意しましょう。
パーコール法自体にかかる費用は病院によって若干差があるんですが、1回で2〜5万円が相場です。
ざっいくつかの病院を調べたところ、産み分け目的のパーコール法だと4万円くらいのところが多かった気がします。
保険適応外になるので少し高めですよね。
気をつけたいのが、これが1回の費用というところ。
もともと人工授精での妊娠成功率って意外と低く、5〜10%程度と言われています。
単純に計算すると、妊娠するのに10回以上かかる計算になるんですが、実際は5、6回で妊娠することが多いそうです。
となると、
4万×5〜6回=20〜24万円くらい
かかるという計算になるでしょうか。。
結構高いですよね。
もちろん、1回とか2回で成功する場合もあるし、費用の安い病院であればいくらか安くすることはできますが、
パーコール法はそこそこの費用がかかる
ということは理解しておきましょう。
パーコール法のメリットとデメリット
ここまでで、パーコール法について大体理解してもらえたかと思いますが、ここでパーコール法のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット
- 産み分けの成功確率が上がる
- 自然妊娠が難しい夫婦でも産み分けが可能
産み分けの成功確率が上がる
何もしない場合の子作りにくらべて産み分けの成功率が少し上がることが一つ目のメリットです。
正確なデータはないですが60〜70%程度に上がると言われていますので、少しでも産み分け確率を上げたい人にとっては選択肢の一つになるかと思います。
自然妊娠が難しい夫婦でも産み分けが可能
通常は子供を授かる時って自然受精、つまり性行為による自然妊娠で授かりますよね。
でも、世の中にはいろんな理由で自然妊娠がしにくいご夫婦もいます。
通常の産み分けでは、タイミング法だったり産み分けゼリーを使って自然妊娠で産み分けを試みるんですが、自然妊娠が望めない場合はその方法では産み分けなんてできないですよね。
パーコール法では人工授精を行うので、自然妊娠ができない夫婦でも産み分けを試みることができます。
また、もともと不妊治療の一環で行われていたものなので不妊治療中にも産み分けができる産み分け法といえます。
これが2つ目のメリットです。
デメリット
- 産み分け成功率が100%ではない
- 精子を分けて注入するので妊娠率が下がる
- 1回で妊娠するわけではないので複数回の費用がかかる
- 通う手間がかかる(パーコール法ができる病院が近くにない場合はできない、遠いと通うのが大変)
確率が100%ではない
次にデメリットですが、まず産み分けの成功確率が100%ではないことは理解しておきましょう。
上にも書きましたが、パーコール法では完全にX精子とY精子を分類することができないからですね。
産み分けの確率が上がると言ってもその成功率は60〜70%と言われていますので、「絶対に女の子が欲しい」、「男の子じゃないとダメだ!」っていう考えでのぞむとがっかりすることもあります。
また、精子を分類する工程が入るので何もしない場合と比べて精子の量が少なくなります。
結果的に妊娠する確率も自然の場合と比べて低くなります。
手間と費用が掛かる
次に費用面のデメリット。
パーコール法による産み分け費用は1回4〜5万円前後が相場です。
更に複数回行う場合が殆どですので、費用も複数回分必要になります。
例えば5,6回試みれば、単純計算で20〜30万円です。
もっと言えば、それだけ繰り返しても妊娠しない場合もあるんですね。
そしてめでたく妊娠したとしても、産み分けが成功する保証はありません。。。
また、自宅だけでできる方法ではないのである程度の病院通いが必要です。
パーコール法を採用している産婦人科やクリニックで行う必要があるので、近くにそういった病院が無ければ遠くまで通う必要も出てきます。
女性は1周期につき2〜3回通い、男性は処置日にあわせて採精(精子を準備する)必要があります。
こういった手間や費用面の負担、そして産み分けの成功率が100%ではないことを理解し、納得したうえでパーコール法を試みるかどうかを判断しましょう。
パーコール法以外の産み分け方法
産み分け方法はいろいろありますが、一般的によくおこなわれるのが以下の方法です。
1. 性行為(セックス)の方法で産み分け
セックスの仕方による産み分けは費用も掛からず最も手軽な方法です。
具体的には、男の子が欲しい場合は、排卵日当日に、濃厚で女性が感じやすいセックス、膣内の奥の方で射精します。
逆に女の子が欲しい場合は、排卵日の2日前に、淡白で女性が感じないセックスを心がけます。射精は膣の手前(浅め)で行います。
詳細はTOPページに記載していますので参考にして下さい。
2. 産み分けゼリーで産み分け
産み分けゼリーは膣内環境を酸性やアルカリ性に傾ける潤滑ゼリーです。
セックスの直前に膣内に注入することによって、女の子や男の子のどちらかが産まれやすい環境のコントロールすることができます。
費用的にも1回分1,500円程度しかかからないので、今日本では非常に人気がある産み分け法です。
上の性行為の仕方も併せて行うと、更に産み分けの成功率をあげることができます。
産み分けゼリー参考記事
ピンクゼリーを徹底比較!おすすめの女の子産み分けゼリーはこれ!
まとめ
ということで、パーコール法による産み分け方法を詳細に説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
パーコール法を利用した産み分けは、
- 成功率がそれほど高くないこと
- 数十万円以上の費用と手間がかかること
を考えると、費用対効果の高い産み分け法とは言えないようですね。
また、病院やクリニックで行われるのでプライバシー性を気にする方には向かない手法です。
とはいえ、自然妊娠が望めないご夫婦にとっては非常に助けとなる手法です。
パーコール法のメリットとデメリットを理解したうえで、パーコール法での産み分けを試みるか、タイミング法や産み分けゼリー等の手法で産み分けを試みるか、是非ご夫婦で相談してみて下さいね。